80年代後半から90年代にかけて、佐藤浩市の演技はさらに研ぎ澄まされていく。特に1995年の映画『GONIN』で見せた、狂気と哀愁が入り混じった表情は今も語り継がれる伝説だ。バブル崩壊後の混沌とした空気感の中、社会の底辺でもがきながらもギラギラとした光を放つ男の生き様を、彼は文字通り体当たりで演じきった。
また、歴史大作『敦煌』での過酷なロケを生き抜いた若き日の彼の表情には、単なる美男子の枠に収まらない、野生動物のような鋭さがあった。役柄によって善人にも冷酷な悪党にも染まるその変幻自在ぶりは、同世代の俳優たちの中でも群を抜いていた。