では、「ストレスが溜まっていると特定の色に見えやすくなる」という言説は完全なデタラメなのでしょうか。視覚生理学と精神医学の知見を照らし合わせると、興味深い事実が浮かび上がります。
結論から言えば、「精神的ストレスの度合いによって、画像の特定の色が変わって見える」という直接的な医学的エビデンスは存在しません。特定の色が見えたからといって、直ちに心療内科を受診しなければならないほどのメンタル疾患を抱えていると断定することは不可能です。
ただし、過度な疲労や自律神経の乱れが「視覚機能全般のパフォーマンス」に影響を与えることは科学的にも確認されています。
強度のストレスや睡眠不足が続くと、自律神経の交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、瞳孔の調整力やピントを合わせる毛様体筋の働きが低下します。その結果、コントラスト感度(明暗の微妙な違いを見分ける力)が鈍り、全体的に白っぽく霞んで見えたり、彩度が落ちて見えたりすることは現実に起こり得ます。
つまり、画像診断そのものがメンタルを測定しているのではなく、「日頃から強い眼精疲労や全身倦怠感を抱えている人が、曖昧な画像を処理する際に微細な色の違いを識別しにくくなる」という副次的な影響は考えられます。