なぜ、この価格が実現できるのか。取材を進めると、従来の食肉流通ルートをバイパスする新しいサプライチェーンの姿が見えてきた。これまでは複数の仲介業者を経て店舗に届いていた黒毛和牛だが、今回の仕掛け人は地方の繁殖農家と直接年間契約を結んでいる。
さらに、AIを用いた需要予測システムを導入し、部位ごとのロスを極限まで削減。タン以外の赤身やホルモンを他のメニューや系列の惣菜店、オンライン販売へと最適に配分することで、これまで廃棄や安値処分されていた部位の価値を最大化している。この「デジタル一頭買い」とも言えるシステムこそが、破格のプライシングを支える心臓部だ。