表千家、武者小路千家とともに三千家の一翼を担う裏千家。その祖である千利休が求めたのは、身分や権力を超えた一期一会の精神と、削ぎ落とされた簡素の美学だったはずだ。しかし、現代において肥大化した家元制度は、皮肉にも利休が目指した境地とは正反対の巨大な権威主義へと変貌してしまったのではないか。
莫大な免状ビジネスと強固な序列関係によって維持されるシステムは、もはや若い世代のライフスタイルや価値観とは致命的なズレを起こしている。「茶道の精神そのものは尊いが、今の組織体制にはついていけない」という入門者の激減は、制度自体の寿命が尽きつつあることを告げる警告音に他ならない。