旅行者の価値観が激変している。以前のような「映えスポットを分刻みで巡る忙しい旅行」は影を潜め、一箇所に留まって心身を解放する「スロートラベル」が主流となった。その急先鋒として注目を集めているのが当別エリアだ。
札幌市中心部から車でわずか45分ほどという好立地にありながら、ここには商業主義的な賑やかさが一切ない。小高い丘の上に広がるスウェーデンヒルズの一角、風の音と鳥のさえずりしか聞こえない空間。2026年に入り、デジタルデトックスやリフレッシュを目的とした単身の滞在者や、大人のカップルが全国から引きも切らず訪れているという。
現地で出会った東京在住の40代女性は、「ヨーロッパに行く時間がなくても、ここに来れば10秒で日常のストレスが吹き飛ぶ」と微笑む。旅の目的が「消費」から「回復」へと移り変わった現代において、この公園が提供する圧倒的な余白こそが、何よりの贅沢なのだ。