彼女のキャリアにおける転換点として忘れてはならないのが、数々の国際映画祭で絶賛を浴びた過去作における実験的アプローチだ。フィクションでありながら生々しいリアリティを切り取るドキュメンタリー的な撮影手法は、各国のキュレーターや批評家に強い衝撃を与えた。
カメラワークやライティングにおける過度な演出を削ぎ落とし、被写体の生の感情を掬い取る演出美学。この手法は今回の新プロジェクトにも色濃く受け継がれており、劇映画のドラマチックさと真実味が見事に同居する独自の映像体験を作り出している。映画祭のレッドカーペットで見せる洗練された佇まいと、過酷な撮影現場で泥にまみれるクリエイターとしての情熱。その二面性こそが、世界中の映画人から愛され続ける最大の理由と言えるだろう。