佐村河内守氏が社会現象となった発端は、クラシック音楽界では異例のメガヒットを記録した『交響曲第1番 HIROSHIMA』でした。CD売上は18万枚を突破し、全国ツアーは即完売。NHKスペシャルをはじめとする数々の大手メディアが「闇のなかで音を紡ぐ天才被爆2世」として大々的に特集を組み、国民的な感動ストーリーとして消費されていきました。
しかし、栄光の頂点にいた2014年2月、ソチ冬季オリンピックのフィギュアスケート男子・高橋大輔選手がプログラム曲に採用した直後、事態は暗転します。『週刊文春』のスクープ記事と、それに続く新垣隆氏による電撃的な記者会見によって、過去18年間にわたる楽曲のほぼすべてがゴーストライターによる代作であったことが白日の下に晒されました。
この告発により、CDは即座に出荷停止・回収となり、全国ツアーも全公演中止。レコード大賞企画賞の取り消しや自治体からの表彰剥奪など、日本中を巻き込んだ前代未聞のペテン劇として歴史に刻まれることになったのです。