昭和初期から日中戦争、太平洋戦争へと突入する過程で、昭和初期思想犯取り締まりは民間社会の深層部まで侵食していきました。警察の力だけで全国民を監視することは不可能なため、国家が利用したのが「隣組」や地域コミュニティによる相互監視・密告システムです。
隣近所との些細な金銭トラブルや感情的な対立が原因で、「あそこの主人が皇室の悪口を言っていた」と警察に密告される事案が頻発しました。新聞や雑誌などの出版物は内務省による事前検閲で徹底的に伏字(「××」などの記号表記)にされ、ラジオも統制されたため、国民は「何を言えば警察に引っ張られるかわからない」という極限の萎縮状態に陥りました。