大山阿夫利神社が鎮座する大山は、別名を「雨降山(あめふりやま)」と呼びます。常に雲や霧が生じやすく雨を降らせる霊峰として、古代縄文の時代より水神・農耕神として篤い信仰を集めてきました。主祭神には、山の神であり水や鉱山、産業の守護神でもある大山祇大神(おおやまつみのおおかみ)を祀り、相殿には雷神である高おかみ神・大雷神が鎮まっています。
神仏習合の時代を経て、江戸時代には「大山講」と呼ばれる組織が関東全域に結成され、年間数十万人規模の庶民が参拝に訪れました。この文化は日本遺産にも認定されており、当時の熱気は今も参道や社殿の佇まいに色濃く受け継がれています。現代において大山阿夫利神社のご利益として名高いのは、農野の恵みをもたらす「雨乞い・五穀豊穣」にとどまらず、源頼朝をはじめとする名だたる武将たちが祈願したことに由来する「立身出世」「勝運向上」「商売繁盛」「厄除け・開運」です。
風水や地勢の観点からも、富士山から発する大地のエネルギー(龍脈)がこの大山を通って江戸・東京へと流れ込む要衝と位置づけられています。富士山の「陽」の気と大山の「陰」の気が引き合い、両方に参拝する「両参り」を行うことでより強大な神徳を得られるという伝承も、ここが最強のパワースポットと呼ばれる大きな所以です。