2000年代初頭の平成仮面ライダーシリーズは、オダギリジョー(『仮面ライダークウガ』)や要潤(『仮面ライダーアギト』)のブレイクにより、「イケメン若手俳優の登竜門」としての性格を急速に強めていました。主役級キャストの大半が10代後半から20代前半でキャスティングされる中、2002年にスタートした『仮面ライダー龍騎』で仮面ライダーゾルダ=北岡秀一役に選ばれた小田井涼平の当時の年齢は31歳でした。
小田井は大学卒業後に一般企業で会社員(通信機器メーカーの営業職)を経験後、モデルへと転身した異色の経歴の持ち主です。モデル時代は本名の「涼平」名義で活動しており、俳優としての本格的な映像デビュー作がまさにこの『仮面ライダー龍騎』でした。
制作統括の白倉伸一郎プロデューサーや脚本家の井上敏樹氏らが北岡秀一というキャラクターに求めたのは、主人公・城戸真司(須賀貴匡)や秋山蓮(松田悟志)といった若者たちとは一線を画す「酸いも甘いも噛み分けた大人の男」でした。高額な報酬で悪徳企業も弁護する辣腕弁護士であり、高級車を乗り回し、美味しい料理を愛する一方で、「不治の病に侵されており、永遠の命を得るためにライダーバトルを戦う」という重厚なバックボーンを体現できる役者として、188cmの長身とスーツを着こなす佇まい、そして落ち着いた声を持つ小田井が白羽の矢を立てられたのです。