鮮魚市場において、マナガツオは常にトップクラスの取引値を誇る高級魚です。豊洲市場や大阪市中央卸売市場における競り値では、状態の良い大型魚(2kg〜3kg前後)になるとキロ単価8,000円〜12,000円を記録することも珍しくありません。なぜこれほど高値で取引されるのか、その理由は3点に集約されます。
第1に、水揚げ量の少なさと産地の局所性です。マナガツオの主産地は瀬戸内海や東シナ海、有明海などに限られており、大量に網で獲れる大衆魚とは異なり漁獲量が極めて安定しません。特に瀬戸内海産の「地物」は資源保護の観点からも流通量が限られており、市場に出るや否や引く手あまたとなります。
第2に、鮮度管理の難しさと足の早さが挙げられます。マナガツオは皮膚がデリケートで身割れしやすく、鮮度が落ちると独特の風味が損なわれやすい魚です。そのため、船上での神経締めや氷締め、徹底した低温輸送ができる一部の流通ルートに乗った個体にのみプレミアムな価値が付きます。
第3に、関西の伝統的な高級料亭・割烹からの絶対的な需要です。「初夏の味覚」「西京焼きの王様」としての地位が確立されており、京都の老舗料亭や高級ホテルなどでは、仕入れ値が高騰しても献立から外せない花形食材として買い付けられます。需要に対して絶対的な供給が少ない構造が、高値相場を支え続けています。