骨付鳥の歴史を語る上で外せないのが、昭和27年(1952年)の丸亀市で産声をあげた株式会社一鶴である。創業者である近藤登氏が、映画のワンシーンで見たハリウッド女優が骨付きチキンにかぶりつく姿に着想を得て開発したのがすべての始まりだった。当時としては斬新すぎたオーブン焼きの鶏肉料理は、瞬く間に労働者たちの胃袋を掴み、やがて県都・高松へとその熱波を広げていった。
現在、高松市内の居酒屋や専門店で供される骨付鳥の根底には、近藤登氏が試行錯誤の末に生み出した「塩・コショウ・ガーリック」の黄金比と、高温の窯で一気に皮目をパリッと焼き上げる技術が息づいている。単なるファストフードではない。職人が肉の繊維を見極め、一本一本に丹念に切れ目を入れて火を通す、緻密な職人技に裏打ちされたご当地グルメなのだ。