『ヒプノシスマイク』の構想がスタートした当時、アニメや原作コミックを持たない純粋な「音楽先行型プロジェクト」が商業的成功を収めるのは極めて異例のことでした。この大勝負を仕掛けたのが、キングレコード第3クリエイティブ本部傘下の内部レーベルEVIL LINE RECORDSであり、同レーベルを率いるチーフプロデューサーの宮本純乃介氏です。
当時の特番インタビューや音楽誌の取材記録において、制作陣は「単なる声優のキャラクターソングには絶対にしたくない」「HIPHOPカルチャーに対する最大限のリスペクトを払う」という強い覚悟を繰り返し語っています。ももいろクローバーZや特撮など、ジャンルの境界を破壊する挑戦を続けてきたEVIL LINE RECORDSだからこそ、前例のない「声優による本格ラップバトル」という企画が社内を通ったと言えます。
プロジェクトの成否を分けた最大の要因は、日本のアンダーグラウンドからオーバーグラウンドまでを網羅するトップラッパー・トラックメイカーの直接起用でした。Zeebra、いとうせいこう、Creepy Nuts、スチャダラパー、KICK THE CAN CREWのメンバーをはじめとするレジェンドたちが楽曲制作に参加。一切の妥協を排したヘビーなビートとスキルフルなリリックが声優陣に提供され、サブカルチャーとストリートカルチャーの奇跡的な融合が実現しました。