『俺たちの朝』を語る上で欠かせないのが、舞台となった神奈川県鎌倉市のロケーションです。特に江ノ島電鉄(江ノ電)の極楽寺駅は、本作のオープニングや劇中で象徴的に使用されたことで一躍全国区の知名度を獲得しました。
当時、赤字ローカル線として存廃問題すら取り沙汰されていた江ノ電は、ドラマのヒットによって若い観光客が殺到。乗客数が劇的に回復し、現在に至る「湘南・鎌倉の観光シンボル」としての礎を築く契機となりました。3人が暮らした日本家屋の設定場所や、極楽寺坂切通し、稲村ヶ崎、由比ヶ浜といったスポットは、日本における「コンテンツツーリズム(聖地巡礼)」の最初期モデルと位置付けられています。
放送から半世紀近くが経過した現在、ロケ地周辺の個人宅などは建て替えや景観の変化が見られるものの、極楽寺駅の木造駅舎の風情や切通しの自然は手厚く保全されており、今なおオールドファンや昭和レトロ建築を好む旅人が静かに足を運ぶ場所となっています。