後編となる『室井慎次 生き続ける者』では、穏やかな生活を揺るがす重大な事件が勃発します。家の近隣の山林で発見された他殺体、そして室井のもとに突如現れた謎の少女・日向杏(キャスト:福本莉子)。彼女はかつて青島や室井を震撼させた猟奇殺人犯・日向真奈美(小泉今日子)の娘であり、室井の心を試すかのように周囲を翻弄します。
地元警察から元キャリアとしての捜査協力を求められつつも、室井は一貫して「民間人の里親」として子どもたちを守り抜く姿勢を崩しませんでした。杏が抱える歪んだ憎悪や孤独に対しても、排除ではなく対話を選び、頑なに閉ざされていた彼女の心を徐々に解きほぐしていきます。
しかし、物語は誰もが予想しなかった悲劇的な結末を迎えます。厳しい冬の猛吹雪の夜、飼い犬のシンペイが雪山へ姿を消してしまいます。子どもたちの大切な家族である愛犬を探すため、室井は単身で吹雪の山中へと捜索に向かいます。懸命の捜索の末、犬を発見したものの、極寒の猛吹雪の中で室井自身が力尽き、雪山で倒れて帰らぬ人となるという衝撃の殉難を遂げたのです。
「青島俊作との約束はどうなったのか?」という長年のファンの問いに対し、映画は直接的な組織変革の達成ではなく、精神の継承という形で答えを提示しました。室井の死後、葬儀には全国の警察関係者やかつての部下たちが集まり、室井が残した「組織ではなく人を信じる」という哲学が、新世代の警察官たちに深く刻まれていることが描かれます。
そして物語のエンドロール後、秋田の室井の自宅を訪れる一人の男の後ろ姿が映し出されます。緑のモッズコートを着たその人物こそ、紛れもない青島俊作でした。言葉は交わさずとも、天国の室井に向けて自らの足で現場に立ち続ける覚悟を示すかのような描写は、約束が終わりではなく、新たな形へ受け継がれたことを象徴しています。