平安中期の貴族社会を鮮烈に描いた大河ドラマ「光る君へ」の放送以降、宮廷文化の裏側にあった寺院勢力の実態や貴族子弟の処遇に関心を寄せる人々が急増している。ドラマが描いたきらびやかな平安文学の世界のすぐ隣には、出家や寺院預かりとなった貴公子たちが織りなすもう一つの現実があった。
現在でもNHKオンデマンドなどを通じて当時の時代背景を再検証する動きが活発だが、貴族たちが幼い息子を大寺院に託した背景には、過酷な出世競争や政争からの避難という意味合いも強かった。寺院で稚児となった少年たちは、洗練された歌道や管弦の才を武器に、俗世とは異なる権力構造の中で生き抜く道を模索したのである。