マラソン2時間切りはなぜ非公認?キプチョゲの真相と公認への壁

マラソン2時間切りはなぜ非公認?キプチョゲの真相と公認への壁

マラソン2時間切りはなぜ非公認?キプチョゲの真相と公認への壁について押さえておきたい 理由を分かりやすい構成で解説いたします。

キプチョゲのタイムが世界陸連(WA)から公認世界記録として認められなかった背景には、陸上競技が伝統的に守り続けてきた競技規則との明確な隔たりが存在します。具体的には、世界陸連テクニカルルール第55条(TR55)をはじめとする複数項目に抵触していました。

最大の争点となったのが、ペーサー交代 ルール違反です。公認レースでは、ペースメーカーは他の競技者と同じくスタートラインから走り始めなければならず、一度レースを離脱した選手が再びコースに戻ることは認められません。しかし、イネオス159では総勢41名もの世界トップクラスのランナーがチームを組み、5人から7人のローテーションを組んで入れ替わり立ち替わりキプチョゲの前後に配置されました。彼らが形成した「V字フォーメーション」は風洞実験に基づき、キプチョゲが受ける前面の空気抵抗を劇的に遮断する役割を果たしていました。

さらに見逃せないのが給水プロトコルです。公認競技会では、指定された公式テーブル(約5km間隔)に置かれたスペシャルドリンクをランナー自らが手にとって補給しなければなりません。テーブルを取り損ねるリスクや、減速によるタイムロスも競技技術の一部とみなされるためです。ところがイネオス159では、サポートスタッフが乗る伴走自転車から、キプチョゲの手元へ直接ドリンクが手渡されました。ランナーは歩調を緩めることなく、最適なタイミングで水分と炭水化物を胃に送り込むことができたのです。

競技場ではなく公道で行われるマラソンにおいて、他者からの不当なアシストを受けず、対等な条件下で自然と戦うこと。その大原則から外れたイベントであったがゆえに、公式記録ではなくエキシビション記録として扱われることになりました。

佐藤 大輔
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佐藤 大輔

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