天川村の川が「天の川ブルー」や「エメラルドの宝石」と称される理由は、花崗岩質の地盤で磨かれた極めて不純物の少ない水質にあります。水深3メートルを超える川底の小石や泳ぐアマゴの姿まで肉眼でくっきりと視認できる透明度は、西日本でも随一の美しさを誇ります。
しかし、現場取材と水難救助データから浮き彫りになるのは、その美しさに潜むリスクです。霊峰・大峰山系から湧き出る清流の水温は、盛夏である7月〜8月でも16度〜18度前後しかありません。一般的な屋外プールの適温(26〜28度)と比較すると10度近く低く、大人が15分以上浸かっているだけでも手足の感覚が麻痺し、急激な低体温症を引き起こす危険性があります。
また、巨岩が点在する飛び込みスポットでは、光の屈折によって川底が実際よりも浅く見えたり、逆に水深5メートル以上の急激な落ち込みが存在したりします。SNSの動画を真似て無防備にダイブし、足を取られてパニックに陥る事故が後を絶ちません。国土交通省や地元消防の安全指針にもある通り、子どもはもちろん大人であっても、浮力体を備えたライフジャケットと滑り止めの効いたマリンシューズの着用は最低限のマナーかつ自己防衛策です。