南伊豆町が今、多くの人々を引きつけてやまない最大の理由は、手つかずの自然環境が奇跡的な純度で残されている点にあります。高度経済成長期に多くの伊豆エリアが大型ホテルや歓楽街を整備して観光開発を進めたのに対し、南伊豆町は険しい地形と豊かな自然保護区に守られ、独自の景観を保ち続けてきました。
その象徴と言えるのが、夏季に渡船でしかアクセスできない秘境スポットでのヒリゾ浜シュノーケリングです。黒潮の直接的な恩恵を受けるこの海域峡谷は、驚くべき透明度と本州随一とも評される魚影の濃さを誇ります。南国を思わせる色鮮やかなソラスズメダイやチョウチョウウオが群れ泳ぐ光景は、ダイバーやアウトドア愛好家の間で「一度体験すると他の海へ行けなくなる」と語り継がれてきました。
さらに、弓なりに弧を描く約1.2kmの白砂青松が美しい弓ヶ浜海水浴場は、「日本の渚百選」にも選ばれる名所で、遠浅で波が穏やかなためファミリー層から絶大な信頼を集めています。岬の先端に立てば、荒々しい波が打ち寄せる断崖絶壁の石廊崎オーシャンパークが広がり、地球の息吹を肌で感じるパノラマビューが旅人の日常の疲れを一瞬で吹き飛ばします。
観光情報サイトや現地ガイドへの取材でも、「ただ見るだけの観光ではなく、地球のダイナミズムを五感で浴びるような実感を求めて南伊豆を目指す20代から50代が明らかに増えている」という証言が一致しています。人工的なエンターテインメントに食傷気味となった現代人にとって、自然そのものが主役である南伊豆の環境は、何物にも代えがたいリフレッシュ空間として機能しています。