かつて韓国で「紙をゴミ箱に捨てる」文化が定着した背景には、都市インフラの歴史と建物の構造的要因が存在します。主に以下の3点が重なったことが直接の原因です。
第一に、1980〜1990年代の急速な経済成長期に建てられた建築物の多くで、排水管の直径が50mm〜75mm程度と細い規格で施工されていた点です(日本の一般的な汚水配管は75mm〜100mm以上)。第二に、建物上層階における水圧の弱さ、そして第三に、当時流通していたトイレットペーパーが水に溶けにくい材質であったことが挙げられます。
水に溶けにくい紙を細い配管に一気に流すと高確率で配管詰まりを起こすため、「紙は個室のポリバケツ(ゴミ箱)に捨てる」という生活防衛策が社会全体に定着しました。インフラ更新が進んだ現在でも、配管改修に多額の費用がかかる古い低層ビルでは、オーナーの判断で「詰まり防止」のためにゴミ箱設置を継続しているのが実情です。