二人の関係が世間の白日の下に晒されたのは、1984年のことでした。当時、山本陽子は42歳。野村證券のOLから日活の看板女優へと登り詰め、ドラマ『白い滑走路』や『黒革の手帖』などで凛とした大人の女性の代名詞として君臨していました。一方の沖田浩之は21歳。原宿の竹の子族から彗星のごとく現れ、1981年に『E気持』で歌手デビューし爆発的人気を博した後、ドラマ『3年B組金八先生』第2シリーズの松浦悟役で圧倒的な演技力を見せつけ、本格派俳優へと脱皮を図っていた時期です。
二人の馴れ初めとなった決定的な契機は、1983年から1984年にかけてのドラマや舞台での共演でした。共演作品を通じて顔を合わせた際、アイドルから脱却し役者として一人立ちしたいともがいていた沖田にとって、舞台経験が豊富で演技論に妥協のない山本は、尊敬すべき絶対的な道標でした。一方の山本も、甘いマスクの裏に役者としての貪欲な野心と繊細な孤独を抱えていた沖田の才能を高く買い、熱心に演技指導を行っていました。
やがて、都内の高級レストランでの親密な密会や、山本の自宅マンションへ沖田が頻繁に通う姿が女性週刊誌にスクープされます。当時のワイドショーは「大女優が21歳年下の元アイドルを囲い込んでいるのか」「若手俳優の売名行為か」といったセンセーショナルな見出しを躍らせ、連日メディアが二人の動向を追いかける過熱報道へと発展していきました。