漫画家・藤田和日郎が築き上げた筆致は、圧倒的な描き込みと魂を削るような執念に満ちている。前作『うしおととら』で少年漫画の金字塔を打ち立てた彼が、次に挑んだ最高峰の舞台こそが本作であった。『週刊少年サンデー』(小学館)誌上において1997年から2006年まで連載された歴史的大作は、今や漫画界の伝説として君臨する。
本作が描き出す世界観は、従来の少年漫画が持っていた爽快感や単純な勧善懲悪とは一線を画す。狂気と悲哀、自動傀儡(オートマータ)と人間の壮絶な血闘を描くダークファンタジーでありながら、根底には常に泥臭いまでの人間讃歌が流れている。荒々しくも美しい線のひとつひとつから伝わる熱気が、世代を超えて読者の感情を激しく揺さぶるのだ。