看板メニューである「うに・いか・たらこ」や「ガーリック風味の濃厚クリームパスタ」は、いかにして生まれたのか。厨房の奥で行われた独自のヒアリングから、長年明かされなかった仕込みの哲学が見えてきた。
「妥協した素材からは、絶対に記憶に残る味は生まれない」。店主の言葉は極めて簡潔だ。ソースの乳化技術には職人技が光る。強火で一気に仕上げるのではなく、素材の水分と上質なオイルを極限まで馴染ませることで、重すぎず、かつ舌に絡みつく絶妙なコクを生み出している。特にウニとたらこを贅沢にブレンドした特製ソースは、魚介の生臭さを完全に消し去り、濃厚な旨味だけを凝縮させるための独自の下処理が施されているという。
毎朝仕入れられる新鮮な魚介と、特注の極太スパゲッティの相性は抜群だ。一口含んだ瞬間に広がる重層的な旨味のグラデーションは、緻密な計算と長年の試行錯誤の賜物である。