アウトドアブームや車中泊旅行の普及に伴い、ネットコミュニティやSNS上では「くしがきの里は車中泊の穴場スポット」といった情報が一人歩きしている側面があります。しかし、取材と現地規程の確認を通じて見えてきたのは、利用者が履き違えてはならない厳格な境界線です。
国土交通省および全国道の駅連絡会が明確に示している通り、道の駅の駐車場は「過労運転防止のための休息・仮眠施設」として整備されています。したがって、運転疲れを癒やすための数時間のシート仮眠は公認されているものの、以下のような行為は道の駅くしがきの里 車中泊 ルールにおいて明確に禁忌とされています。
- 車外にテーブルや椅子、タープを広げるキャンプ行為
- カセットコンロやバーナー等を用いた屋外調理・火気使用
- 車載ゴミや生活ゴミの施設ゴミ箱への不法投棄
- エンジンをかけっぱなしにした状態での長時間のアイドリング
- 数日間にわたる同一駐車スペースの連続占有
地域社会学や公共経済学で論じられる「共有地の悲劇(コモンズの悲劇)」が示すように、一部の利用者がマナーを逸脱して公共インフラを私物化すれば、最終的には車中泊全般の禁止や夜間閉鎖という厳しい制約へと繋がります。現地の夜間は静寂に包まれる中山間地だからこそ、エンジン音や話し声への配慮が不可欠です。「宿泊施設代わりの利用」ではなく、「安全に目的地へ辿り着くための休息」という倫理観を持つことが、持続可能なドライブカルチャーを守る鍵となります。