なぜ日本人の多くが間違った認識を持つに至ったのか。答えは昭和10年に発表されたサトウハチロー作詞の童謡『うれしいひなまつり』にある。「お内裏様とお雛様 2人ならんですまし顔」というフレーズがあまりにも有名になった結果、前者が男雛、後者が女雛という誤解が定着してしまったのだ。
「内裏」とは本来、皇居や御所そのものを意味する言葉である。つまり、そこに鎮座する天皇・皇后のお二人を揃えて称したのが正体だ。有職故実(ゆうそくこじつ)に詳しい専門家は「言葉の誤用ではあるが、歌を通じて行事が全国の家庭へ親しみやすく普及した功績は計り知れない」と分析する。文化の変容として面白がる視点こそ、現代的な楽しみ方と言えるだろう。