地 魚屋 台 浜 ちゃん 上野 店の暖簾をくぐると、まず耳を打つのはパチパチと小気味よく油が爆ぜる音と、昼下がりからジョッキをぶつけ合う呑兵衛たちの野太い歓声だ。ガード下に立ち込める香ばしい胡麻油の匂い。すれ違うのも一苦労な狭い通路に並べられたビールケースの即席テーブル。東京・台東区、観光客と地元民の熱気が混沌と渦巻くJR高架下で、年中無休の狂騒を生み出し続けるこの場所は、単なる飲食店の枠組みを軽々と飛び越えた異様な熱量を放っている。
薄暮の時間を迎える前だというのに、店先にはすでに長い待機列が伸びていた。近隣の飲み屋が客引きに汗を流すなか、地 魚屋 台 浜 ちゃん 上野 店だけは自ずと人を吸い寄せるブラックホールのように呑兵衛たちを引きつけて離さない。原料高やインフレが押し寄せる現在の外食シーンにあって、なぜこの店は圧倒的な鮮度とボリュームを信じられない低価格で維持できるのか。暖簾の奥で繰り広げられる仕掛けと現場の熱気を取材した。
名物「江戸前天ぷら」の狂気的なコスパ!大根おろし無料の破壊力
卓上の注文伝票に赤ペンで数字を書き込み、威勢のいい店員に手渡す。名物の江戸前天ぷらは、オーダーが入るたびに大鍋の油へタネが放り込まれる完全揚げたてスタイルだ。きす、穴子、イカ、海老、そして季節の野菜。黄金色の衣をまとって運ばれてくるタワーのような盛り合わせは、目にした瞬間に思わず息を呑むほどの迫力がある。
特筆すべきは、テーブルにドンと豪快に置かれる大根おろしの器だ。なんとこれが無料でおかわり自由。天つゆにこれでもかと山盛りの大根おろしを沈め、熱々の天ぷらを浸して頬張る。サクッとした軽快な衣の奥から魚介のジュワッとした旨味が広がり、大根おろしのみずみずしさが脂っこさを一瞬で洗い流す。気取った高級天ぷら店とは対極にある、庶民のための豪快なご馳走がここにある。
豊洲市場と産地直送の二刀流が生む、破格の地魚仕入れルートの裏側
看板に掲げられた「地魚」の二文字に嘘はない。刺身の盛り合わせを頼めば、角のピンと立ったマグロやプリプリとした白身、脂の乗った光り物が皿狭しと並ぶ。このクオリティを大衆価格で提供できる秘密は、独自の調達ネットワークにある。毎朝バイヤーが目利きを行う豊洲市場からの確かな仕入れに加え、全国の漁港と直接パイプを結ぶ地魚直送仕入れプロジェクトを連動させているのだ。
中間マージンを徹底的に削ぎ落とし、獲れたての未利用魚や規格外サイズも積極的に買い付ける。国内の水産業が直面する流通の壁を逆手に取り、鮮度抜群の魚をスピーディーに店舗へ直送する仕組みが整っている。だからこそ、日によって黒板に書かれる「本日のおすすめ」には、都心の一般的な酒場では滅多にお目にかかれない珍しい地魚が破格の値段で並ぶことになる。