「盗んだバイクで走り出す」というあまりに有名なフレーズは、発表当時から激しい賛否両論の火種となってきた。学校や家庭という制度化された檻から逃走する不良少年の武勇伝——そう片付けるのはあまりに安易だ。歌詞の原型となったのは、彼が中学時代に仲間たちと家出を決行し、夜の街を彷徨い歩いた実体験だった。
だが、実際に彼が求めていたのは社会への反抗そのものではない。何者でもない自分への焦燥、大人たちへの不信、そして何よりも「自分が自分であること」を確かめるための切実な儀式だった。自由になりたいと叫びながら、自由の意味さえ掴めずに震えていた一人の少年の体温が、あのリリックには刻まれている。