「午後の紅茶」の歴史を振り返ると、歴代のCMキャストには常にその時代を代表するトップランナーや、のちに大躍進を遂げる実力派女優・俳優が名を連ねてきました。昭和から平成、そして令和へと続くその系譜は、日本のテレビCM史そのものと言っても過言ではありません。
かつてはオードリー・ヘプバーンを起用した気品ある海外ロケCMをはじめ、小泉今日子、松浦亜弥、蒼井優、宮崎あおいといった錚々たる顔ぶれがブランドの顔を務めました。中でも、近年のCM史において金字塔と称されるのが、2016年から2018年にかけて放映された上白石萌歌主演のシリーズです。
熊本の田舎町を舞台に、女子高校生役の上白石萌歌が駅のホームでイヤホンを耳にし、切なさを込めて名曲をアカペラ混じりに歌い上げる演出は、視聴者の心を強く揺さぶりました。当時、彼女がカバーしたHYの「366日」、スピッツの「楓」、CHARAの「やさしい気持ち」は軒並み音楽配信チャートで急上昇し、彼女自身の女優・歌手としての評価を決定づける契機となりました。
また、その後を引き継いだ中条あやみ出演のシリーズでは、現代を生きる人々の日常にそっと寄り添うような温かいトーンが展開され、紅茶が持つリフレッシュメントとしての価値を日常目線で再定義。これらの歴史的蓄積の上に、現在の目黒蓮による深みのあるシリーズが成立しています。