犯人を射殺したミルズは精神を崩壊させ、パトカーで連行されていきます。すべてが犯人の思惑通りに進み、圧倒的な絶望が荒野を包み込むなか、映画はサマセット刑事のモノローグによって幕を閉じます。
サマセットが心の中で呟く「アーネスト・ヘミングウェイは書いた。『世界は素晴らしい、戦う価値がある』と。私は後半の部分には賛成だ」という引用句は、本作が提示する唯一の微かな光です。
退職して冷酷な街から逃げ出すことを望んでいたサマセットが、ミルズの悲劇を目の当たりにしたことで、不正と悪意に満ちた過酷な世界にとどまり、戦い続ける決意を固めたことを示唆しています。完全なハッピーエンドを排除しながらも、人間の不屈の意志を静かに提示するこの幕引きこそが、本作の評価を決定づけています。