加藤まさをが紡いだ詩に、哀愁に満ちた旋律を与えたのが作曲家の佐々木すぐるです。『月の沙漠』のほかにも『お山の杉の子』など数多くの名作を残した佐々木は、詩が持つ静寂と孤独感をヨナ抜き音階(日本固有の哀愁を帯びた短音階)を巧みに用いて表現しました。
発表直後から評判を呼んだ楽曲は、初代歌唱を担当した童謡歌手の柳兼子をはじめ、森の木児童合唱団、さらには美空ひばり、島倉千代子、石川さゆりといった名歌手たちによって歌い継がれました。演歌・歌謡曲の大御所たちがカバーしたことで、子ども向けの童謡という枠組みを大きく超え、日本の音楽史に燦然と輝くスタンダードナンバーとしての地位を確立しました。