1970年代から80年代にかけて、日本の演劇界は熱狂的なアングラ(地下演劇)ブームの渦中にあった。石橋蓮司はその中心地で、まさにカリスマ的な光を放っていた存在だ。緑魔子らと共に設立した「劇団第七病棟」の舞台において、彼は観客の眼光を射抜くような鋭い視線と、どこか刹那的な虚無感を漂わせた演技で人々を狂喜させた。
当時の彼が纏っていた雰囲気は、現代の「イケメン」という平易な言葉では表現しきれない。長めの黒髪、痩身のシルエット、そして一瞬で空気を凍りつかせるような眼光。劇場に足を運んだ当時の若者たちは、彼の演じるキャラクターが持つ「壊れそうな危険さ」に息を呑み、心を打ち抜かれたのだ。