この戦慄の密室トリックを仕組んだ犯人は、人気ロックシンガーの藍川冬矢(あいかわ とうや)でした。アリバイ工作として「深夜0時の電話が鳴った際、小五郎たちと同じ部屋にいた」状況を作り出していましたが、受話器から流れる音声を事前に録音テープで再生する時間差トリックをコナンに見破られ、追いつめられることとなります。
犯行の背後にあった決定的な動機は、実の母親の命を奪われたことに対する凄絶な復讐でした。冬矢の母親はかつて紅子の付き人を務めていましたが、ある交通事故の身代わりとして罪を着せられ、精神的に追い詰められた末に自殺へ追い込まれていたのです。冬矢は自らの手で母を死に追いやった黒幕が紅子であることを突き止め、復讐の機会を長年狙っていました。
さらに許しがたい事実として明かされたのが、被害者・蘇芳紅子の真の顔です。彼女は表向き「恵まれない子供たちを支援する高潔な慈善家」を演じていましたが、その実態はチャリティーで集めた巨額の寄付金を私的に横領・着服し、贅沢な豪邸や美術品を買い漁る悪質な詐欺師でした。自らの罪を他人に擦り付け、偽善の仮面を被って富を貪り続けた紅子の冷酷さが、冬矢の心に深い憎悪の炎を灯してしまったのです。