チケットに「アリーナ〇ブロック」と記載されているのを見て歓喜したものの、会場に入って後悔する――この「アリーナ埋もれ現象」は代々木第一体育館においてたびたび話題にのぼる深刻なテーマです。
代々木第一体育館アリーナ席の見え方を左右する根本設計は、体育館の床面が完全な平坦構造である点にあります。前後の座席に段差が一切ありません。エンドステージ配置の場合、ステージから40列〜50列以降の後方ブロックになると、前列の観客全員が立ち上がった瞬間、肉眼でのステージ上の視認性は急降下します。
現場取材でアリーナD〜Eブロック(後方エリア)を体験した観客の手記やヒアリングでは、次のようなリアルな生の声が散見されます。
「前の男性の肩越しにわずかにメンバーの頭が見える程度で、2時間ずっと大型ビジョンを見上げるだけだった。背伸びをし続けたため公演終了後は腰とふくらはぎがパンパンになった」
「アリーナ席=勝ち組だと思い込んでいたが、これならスタンド1階の斜面から全体を見下ろした方が数倍楽しめたはず」
このアリーナ後方の埋もれ対策として有効なのは、足元対策と事前の観察戦略です。会場規定に準じた厚底スニーカー(過度な厚底サンダルやハイヒールは足首への負担や周囲への危険があるため禁止または推奨されません)を選びつつ、視線を前方の人の頭の隙間(V字ライン)に通すスタンスを立ち位置として確保することが肝要です。
一方で、センターステージ花道からの距離感は話が180度変わります。メインステージからアリーナ中央へロング花道が伸びる構成、あるいはセンターステージ型の公演では、後方寄りブロックが突如として「神席」へと変貌します。花道先端にアーティストが歩いてきた瞬間、手の届きそうな数メートルの距離で表情筋の動きや滴る汗まで肉眼で克明に捕捉できるダイナミズムは、アリーナならではの特権と言えます。