大阪府が推し進めてきた「高校授業料完全無償化制度」は、2026年度入学者を迎え、高校全学年を対象とする包括的なセーフティネットとして完全に根付きました。所得制限のない学費支援策は家庭の教育費負担を劇的に軽減した一方で、公立高校入試の勢力図を根本から書き換えました。
最大の構造変化は、これまで「公立優位」だった中堅学力層における私立専願への大規模シフトです。従来の公立普通科が持っていた「学費の安さ」という最大の参入障壁が消滅したことで、手厚いICT設備、充実した指定校推薦枠、放課後学習サポートを備えた私立高校に志望者が大量に流出しました。その結果、第3回進路希望調査の段階でも、府内の普通科校の約3割が募集定員を下回る「定員割れ(倍率割れ)」の危機に瀕しています。
加えて、大阪府教育委員会が設定している「3年連続定員割れかつ改善の見込みがない場合の再編統合ルール」が保護者や中学生の心理に影を落としています。「母校が数年後に統廃合されるのではないか」という不安感がさらなる志望者離れを呼び、「文理学科をはじめとする難関トップ校への一極集中」と「中堅普通科の地盤沈下」という残酷な二極化を加速させているのです。