眼科専門医への取材を重ねると、現場の医師たちが一様に口にするのは「患者が訴える眼精疲労の9割以上は、光の色ではなく物理的な目の酷使が原因」という指摘です。デジタル画面を見つめる私たちの眼球内部では、ブルーライトとは無関係な物理的破壊が静かに進行しています。
上の表が示す通り、人間がスマホを凝視している最中、眼球には「まばたきの消失」と「毛様体筋(ピント調節筋)の硬直」という強烈な生理学的負荷がかかり続けています。通常、1分間に約20回行われるまばたきが4〜5回に激減すると、瞳の表面を守る油層と涙液層がわずか数秒で蒸発し、角膜が無防備に外気へ晒されます。これによって引き起こされる眼球表面の微細な傷と炎症こそが、ゴロゴロ感や焼けるような痛みの正体です。
また、眼球内の水晶体を引っ張ってピントを合わせる毛様体筋は、遠くを見るときに脱力し、近くを見るときに強く収縮します。スマホを顔から25cmの位置で2時間眺め続ける行為は、いわば「重いダンベルを腕を曲げたまま2時間静止させ続ける」ことと同義です。腕が筋肉痛で悲鳴を上げるのとまったく同じ現象が、目の中で起きています。この筋疲労に対していくら青色光の波長だけを遮断してみても、筋肉の緊張が解ける道理はありません。