その歴史を紐解くと、古代日本の神話と深く結びついた厳かなルーツが浮かび上がる。岡山県倉敷市に鎮座するこの古社は、ヤマタノオロチ退治の神話で名高い足名椎命(アシナヅチノミコト)と手名椎命(テナヅチノミコト)を主祭神として祀り、手足の健やかさを司る神として数百年以上にわたり篤い崇敬を集めてきた。
神社本庁に連なる由緒正しい系譜を持ちながら、地域の民間信仰と融合した独自の立ち位置を保ち続けている点も見逃せない。文化庁(国指定文化財等データベースにも記録される貴重な地域資料や石造物群が物語る通り、過酷な農作業や長距離移動を強いられた古の人々にとって、健脚は命そのものであった。その切実な祈願の歴史が、現代の境内にも重層的な祈りの磁場として色濃く残されている。