実力派・井之脇海の現在地|結婚の真相と子役から培った圧倒的表現力

実力派・井之脇海の現在地|結婚の真相と子役から培った圧倒的表現力

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井之脇海のキャリアを語る上で欠かせない転機が、2008年に公開された黒沢清監督の映画『トウキョウソナタ』です。劇団ひまわりで子役としての基礎を踏み出していた当時12歳の井之脇は、崩壊していく家庭の中で密かにピアノの才能を開花させていく次男・健二役に抜擢されました。

製作サイドの一次資料によると、オーディション当時はピアノの鍵盤すら触ったことがなかったにもかかわらず、「ピアノは弾けるか」という質問に対して衝動的に「弾けます」と答えたという有名なエピソードが残されています。そこからクランクインまでの短期間、1日8時間にも及ぶ猛猛特訓を自らに課し、代役の手元吹き替えなしでドビュッシーの「月の光」をノーカットで演奏し切るという驚異的な離れ業を成し遂げました。

この演技が映画界に強烈な衝撃を与え、第82回キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞および第63回毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞を総なめにしました。当時の関係者はインタビューで「彼が放っていたのは単なる可愛らしさではなく、孤独と芸術的情熱が同居した尋常ならざる気迫だった」と振り返っています。虚飾を嫌い、役柄に必要な技能を肉体ごと獲得するストイックなアプローチは、この原初体験によって決定づけられたと言えます。

山田 真由
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山田 真由

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