弁護士や法務相談の現場取材において、念書を巡る紛争が最も多発しているのが「男女問題(不貞行為・不倫慰謝料)」と「個人間の金銭貸借(借金・金銭消費貸借)」の2領域です。感情的な対立の最中に無理やり作成された念書が、後に火種となるケースが後を絶ちません。
法曹関係者への取材によると、不倫慰謝料トラブルにおいて発覚直後に相手方を問い詰め、その場の勢いで「慰謝料3,000万円を支払う」「会社を退職する」といった過大な内容の念書を書かせるケースが目立ちます。しかし、これらは後に「脅迫されて無理やり書かされた」「相場から逸脱しすぎて公序良俗に反する」として裁判で無効を主張され、結果的に長期の泥沼紛争に発展する事例が全体の約4割を占めています。
また、個人間の借金トラブルにおいては、「貸した金額」だけをメモ書きのように残し、「返済期日」や「返済方法」を明記していなかったために、返済を求めるタイミングで揉めるケースが頻発しています。金銭の貸し借りでは、本来は金銭消費貸借契約書を交わすべきですが、やむを得ず念書で処理する場合でも、貸付日・金額・返済期日・利息の有無を曖昧にせず明記しなければ証拠価値が半減してしまいます。