現在、国内で人工透析を受けている患者数は34万人を超え、年間医療費は約1.6兆円に達しています。しかし、近年の腎臓病学は劇的な進化を遂げており、腎臓病予防の最新情報では、適切な早期介入によって透析導入を大幅に遅らせる、あるいは完全に回避することが現実的になっています。
将来的な人工透析回避の対策として、確立されたエビデンスを持つアプローチは次の3点です。
- 徹底した減塩(1日6g未満):塩分過多は腎臓の糸球体に過剰な圧力をかけ、物理的に破壊します。減塩はあらゆる薬物治療の基礎となります。
- 血圧の厳格管理(家庭血圧125/75mmHg未満):高血圧は腎硬化症の主因です。降圧薬(RAS阻害薬など)による糸球体内圧の保護が極めて有効です。
- 新規治療薬の早期活用:本来は糖尿病治療薬として開発されたSGLT2阻害薬や、非ステロイド型選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)が、非糖尿病性のCKDに対しても強力な腎保護作用(進行抑制)を示すことが国内外の臨床試験で証明されています。
【専門家の判断軸】積極的な受診が必要な人・生活改善で様子見できる人
今すぐ腎臓内科・専門外来を受診すべき人:
- 健康診断で「尿蛋白(1+以上)」または「尿潜血と尿蛋白のダブル陽性」が出た人
- 直近の検査でeGFRが60未満、または前年比で5以上急激に低下している人
- 血圧が140/90mmHg以上で、足の甲やすねに指で押すと戻らないむくみがある人
生活習慣の改善と年1回の定期検診で経過観察できる人:
- eGFRが60以上を維持しており、尿蛋白・尿潜血ともに(−)完全陰性の人
- 血圧・血糖値・脂質がすべて基準値内で、明らかな尿の泡立ちや夜間頻尿がない人