トップの交代を経た組織が目指す方向性も明確になりつつある。就任以降、市場の対話重視と革新のバランスを掲げる井藤英樹長官は、形式的な規制遵守の枠を超えた実質的な市場活性化を前面に打ち出している。これまでの規制当局が重視してきた「守り」の監督から、「攻め」の成長支援へのシフトである。
井藤体制の下では、規制の硬直化を防ぎつつ、イノベーションを阻害しない過渡的ルールの柔軟な運用が模索されている。特にガバナンス改革を通じた企業価値向上の働きかけは、海外投資家からの評価を着実に高めており、単なる規制機関にとどまらない「価値創造を後押しする金融行政」への転換が試されている。