不二阿祖山太神宮の教義の根幹を成すのが、「宮下文書(富士古文書)」と呼ばれる一連の記録です。この文書は、有史以前の富士山麓に強大な「富士高天原王朝」が存在し、不二阿祖山太神宮はその総本廟として太古の日本を統治していたと主張します。竹内文書などと並ぶ「超古代古文書」の代表格ですが、近代の歴史学・国文学界では江戸期以降の創作を含む「偽書」と断定されるのが定説です。
同神宮を率いる渡邉政男大宮司は、この宮下文書に記された失われた古代祭祀を現代に蘇生させることを至上命題として活動を続けてきました。渡邉大宮司は独自の霊的直感と伝承の解釈に基づき、自らを正統な継承者と位置づけています。公式刊行物や講話録において語られる「富士山を中心とした世界平和の祈り」は、信奉者にとっては崇高な救済のメッセージと映る一方、歴史考証を重んじる一般層からはオカルト的教条主義として受け止められる二面性を持ちます。