全身を覆うインクの美学において、現代の音楽業界を牽引するスターたちの選択は極めて象徴的だ。全米録音協会(RIAA)から数々のダイヤモンド認定を獲得してきたチャートの覇者、ポスト・マローン。彼の顔面に刻まれた「Always Tired」の文字や有刺鉄線、中世の凶器のモチーフは、自身のコンプレックスや過酷なツアー生活からくる精神的疲労を隠すための「防衛本能」だったと後に明かされている。完璧なルックスを提示することが当たり前だったポップスターの概念を、彼は自らの肌をキャンバスに塗り替えることで打ち破った。
一方、若くして世界的アイドルとなったジャスティン・ビーバーもまた、全身をびっしりと覆う壮大なタトゥーで知られる。胸元に鎮座するライオンや十字架、そして天使たちの彫刻は、迷いや過ちを経て辿り着いた宗教的信仰と精神的救済の証だ。10代での狂乱と批判の渦をくぐり抜けた彼にとって、墨を重ねる行為は自身の歴史と精神的成長を皮膚上に固定する儀式にほかならない。