本作の大きな成功要因として外せないのが、もう一人の主人公・小松奈々(ハチ)を演じた宮崎あおいとの化学反応だ。クールで尖り切ったバンドマンのナナと、愛らしくもどこか危ういハチ。対極に位置するふたりの関係性を演じるうえで、現場では独特の緊張感と信頼関係が構築されていたという。
撮影秘話として知られるのは、ライヴハウスでの白熱した演奏シーンや極寒の雪中ロケでの裏話だ。特に歌唱シーンにおいて、中島美嘉は吹き替えなしで自ら声を張り上げ、本物のライブパフォーマンスとして撮影に臨んだ。当時、すでにトップアーティストとして君臨していた彼女にとっても、映画のスクリーン越しに観客を圧倒する演技と歌の融合は未知の挑戦だった。撮影の合間、真逆のキャラクターを演じる宮崎あおいと静かに言葉を交わしながら絆を深めていったプロセスが、スクリーンの二人の友情にそのままリアルな熱量として宿ったのである。