引退後も相撲界に残り、後進を育てる親方(年寄)になるためには日本国籍の取得が必須条件となります。鳴戸親方は現役末期の2014年1月、日本国籍を取得(帰化)し、日本名を「安藤カロヤン」と改めました。欧州出身力士が日本国籍を取得して親方になるのは、相撲の長い歴史の中でも前例のない快挙でした。
引退後は佐渡ヶ嶽部屋の部屋付き親方として指導経験を積んだ後、2017年4月に年寄名跡「鳴戸」を正式に襲名し、念願であった自らの相撲部屋を旗揚げしました。既存の部屋を継承するのではなく、ゼロから土地を確保し、稽古場を建て、弟子をスカウトして部屋を立ち上げる「分家独立」は並大抵の苦労ではありません。言葉や文化の壁、角界特有のしきたりと向き合いながら、自らの理想とする部屋づくりへ情熱を注ぎ続けたのです。