父親の職業や生き様が最も色濃く反映された作品として挙げられるのが、TBSテレビの日曜劇場枠で社会現象を巻き起こした大ヒットドラマ『下町ロケット』だ。阿部寛が演じた熱き研究者兼社長・佃航平の立ち振る舞いには、幼少期に間近で見ていた父親の面影が強く重なる。
ものづくりに命を懸ける男たちの情熱を描いたヒューマンドラマにおいて、阿部寛の見せた圧倒的な真実味は、単なる演技の枠を超えていた。工具を扱う手つきや、トラブルに直面した際のギラついた眼光。それらはすべて、かつて現場でトラブルと格闘していた実父の姿を記憶の奥底から手繰り寄せ、役へと昇華させた結果にほかならない。