標高848メートルの比叡山頂近くにたたずむ世界遺産、比叡山延暦寺。ここは日本仏教の母山として1200年以上の歴史を刻み続けている。杉の巨木が立ち並ぶ根本中堂の境内は、一歩入るだけで身が引き締まるような清冽な空気に満ちていた。「不滅の法灯」が今もなお揺らめく暗がりの空間は、訪れる者に深い省察の時間をもたらす。
山裾へと目を転じると、石垣の街・坂本が広がる。戦国時代、優れた土木技術を持った穴太衆(あのうしゅう)が積み上げた堅固な石垣の並木道は、この地を治めた明智光秀の影を色濃く残す。光秀の菩提寺である西教寺をはじめ、このエリアの深く落ち着いた社寺巡りは、戦国乱世のロマンと洗練された建築美を一度に味わえる格別のルートだ。