2002年、格闘技界に激震が走った。格闘技イベント「K-1」のリングに突如現れたボブ・サップは、圧倒的な体躯と規格外のパワーで既存のファイターたちをなぎ倒していった。とりわけ世界を驚愕させたのが、当時の絶対王者であったアーネスト・ホーストとの死闘である。緻密な技術を誇る「四冠王」ホーストに対し、サップはガードの上から強打を叩きつけ、野性味あふれる猛攻で2度にわたって勝利を収めた。
この勝利を決定づけたのは肉体的なパワーだけではない。パンチを打ち込む最中、そして勝利を決めた直後にカメラに向けて見せた強烈な表情だ。白目を剥き、口を大きく開けて咆哮する姿は、総合格闘技界に新しい時代の到来を告げるシンボルとなった。恐怖と爽快感が同居するそのインパクトは、既存の格闘技ファンだけでなく、普段スポーツを見ない層までを瞬く間に惹きつけた。