事件の引き金となったのは、鬼才として知られるケラリーノ・サンドロヴィッチが演出・脚本を手掛けた舞台『ライクドロシー』だった。公演当日の寝坊による遅刻という、プロとしてあってはならない痛恨のミス。これにより当日の公演は余儀なく中止となり、チケットを購入して来場した観客や関係者に甚大な迷惑をかけることとなった。
当時の所属事務所である大手ホリプロは事態を重く受け止め、本人からの強い申し出を受ける形で契約解除を発表。重大な責任を感じた本人は、事実上の業界離脱とも取れる形で表舞台から姿を消した。若さゆえの過ちと言えば容易いが、代償はあまりにも大きかった。しかし、この致命的なつまずきこそが、彼のその後の人生を根本から変える転機となったのも事実である。