鶏肉の常識は、夜明け前に破られる。
最大の特徴は、徹底的に管理されたサーカディアンリズム(体内時計)と、長野の冷涼な気候を活かした独自の長期肥育法にある。通常のブロイラーが約50日で出荷されるのに対し、ここでは180日から220日という途方もない時間をかける。しかも、ただ長く育てるのではない。標高特有の寒暖差と、水深200メートルから汲み上げた天然鉱泉水、そして地元の酒蔵から譲り受けた発酵酒粕を混ぜ入れた自家製飼料。これらが複雑に絡み合い、極上の赤身と透明感ある脂肪層を作り上げる。
生産責任者は語る。「鶏はストレスに極めて過敏です。夜明け直前、最も体温と旨味成分が安定する時間帯に静かに収穫する。この瞬間の肉質は、他の時間帯では絶対に再現できません」。職人の執念が生み出すこのひと手間こそが、世界の舌を魅了する秘密だ。