日本での居場所を失った彼が向かったのは、演劇の聖地ニューヨークだった。知名度も過去の実績も何の意味もなさない異国での暮らし。現地で語学学校に通いながら演劇ワークショップに足を運び、現地の役者たちと泥にまみれて芝居を学ぶ日々を過ごした。
言葉の壁にぶつかり、自分自身と何千回も対話を重ねる中で、彼の中に芽生えたのは「飾りを削ぎ落とした生の演技」だった。スターとしてのプライドを完全に捨てることで得られた新しい呼吸。異国の地で培ったたくましさと孤独感は、彼の表情に深みと鋭い陰影をもたらすことになったのである。